・指示が通らない子どもとの接し方
・しつけや子育ての中でコミュニケーションをとるコツ
息子は自閉症の特徴として、大人に出された指示の意味をうまくつかめず、長い文章だと最後の一言しか聞き取れない傾向があります。
例えば「そんなことしたら危ないでしょ、おもちゃ投げないの!」と言われても「危ない」という概念が理解できず、最後の「投げる」という言葉しか聞き取れなくて、結果投げるのをやめられない、というような状況です。
そんな時に使っているのが言語療法士さんに教わった「指示は具体的に、肯定的に」という対策法。今回はその対策法を使った例をいくつかご紹介します。
目次
「おもちゃを投げるのやめなさい」
【言い換え方】「おもちゃをテーブルの上に置こうね」
「おもちゃを投げない」とはつまりどういった行動を求められているのか、代わりに手をどうしたらいいのかを具体的に説明します。
さらに「投げる」という言葉が強調されるとそこに反応してしまうので、肯定的なものに変えます。この場合「おもちゃをテーブルの上に置こうね」「手をポケットの中に入れてごらん」というような言い回しを使います。
「静かにしなさい」
【言い換え方】「小さい声で言ってみよう」
静かにするというのは、つまりどうしたらいいのか、声の大きさをどのくらいまで下げるべきなのかを具体的に説明します。
「走り回るのやめなさい」
【言い換え方】「この椅子に座ってこの本を読もうね」
ただ走るのを止めさせるだけでなく、そもそも走っている理由を考えます。
もしかしたらエネルギーを持て余しているのかもしれない、それとも置かれている環境の何かが嫌で気持ちが落ち着かないのかもしれない、それかただ何をしたらいいのか分からなくて走っているのかもしれない・・・
走っている理由を察し、その代わりとなる行動を具体的に提案してあげます。
「お友達の頭を叩いたらダメ」
【言い換え方】「代わりに腕をヨシヨシしてあげようね」
お友達の頭を叩いている行為は、もしかしたら本人は暴力を振るっているつもりはない場合があります。
「一緒に遊びたい」「君がやっていることが面白い!」「君が好き!」と伝えたいけど言葉が見つからなく、正しい表現がわからないため、頭を叩いているのかもしれません。
なので、その代わりとなる行動や言葉を「代わりに腕をヨシヨシしてあげようね」や「追いかけごっこしようって言ってごらん」など、具体的に提案してあげます。
「勝手に歩いていかないで」
【言い換え方】「ここを触っていて・握っていて」
お出かけ中に「遠くに行かないで、勝手にふらふらしないで」と言いたいけど、手が塞がっていて手を繋げない時がよくあります。
例えば駐車場で、車の側に息子を立たせたまま荷物の積み降ろしをしないといけない時。又は、店のレジでの会計中や銀行の窓口などで手続きをしないといけない時。
そんな時には、具体的にどうしたらいいのか分かるように指示を出します。
【例1】自分がさげている鞄のハンドルにシールを貼って「このライオンさんのシールを握っていてね」と言う。
【例2】車のボディーのある部分を指して「この赤いところを触っていてね」と言う。
更には、「この赤い部分を叩きながら100まで数えよう」や、「ライオンさんのシールを握りながら〜の歌を歌おう」と、待っている間できる遊びを具体的に提案してあげると効果的です。
「鼻血が出るから鼻をこすらないで」
【言い換え方】「鼻をこちょこちょしてみて」
息子はシャワーが苦手なので、シャワーで髪を洗っている間、ずっと激しく鼻を擦ります。すると、そもそも鼻血が出やすい体質なので数回に1回の確率で鼻血が出ます。
最初のうちは「鼻をこすらないで!」と厳しく言っていたのですが、どうしても止めないので、「鼻をこちょこちょしよう!」と言い換えてみました。
すると、くすぐられるのが好きな息子は、自分の鼻をくすぐるのがおかしくて、すすんでやってくれました。
実際シャワーを浴びている間はやはり鼻を擦りがちなのですが、それでも「くすぐろう」としている努力は伺えます。
なので、何か困った行為をしている時は、お子さんが「面白い」「可笑しい」と思う行為に代えるように勧めてみてください。
ここがポイント
自閉症の子どもが何か社会的に迷惑な行為をしている場合、「やめなさい」と指示を出してもその瞬間完全にやめるのは本人にとって難しい場合があります。
なぜならその行為によって自分の気持ちを落ち着かせたり、言葉で伝えられない分フラストレーションを処理しようとしているかもしれないからです。
その場合は、代わりに許される範囲の別の行為を具体的に勧めてあげるといいかもしれません。
【例】
①ものを投げている場合、投げているものを風船にすり替える。
②叫んでいたら代わりに歌を歌う。
③人を叩いていたらクッションを叩くように促す。
モンキーのメモ
✏️やめてほしい行為を強調するのではなく、代わりにやってほしい行動を具体的に説明する。
✏️社会的迷惑行為をしている場合は、許される範囲の似た行為を代わりに勧める。
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