・絵を描くのが苦手だった自閉症の息子がお絵かきが好きになった経緯
・指先を鍛え、創造力を養う療育のコツ
自閉症・発達障害の息子は、当初は手に力が入らず指先も不器用だったため、なかなかお絵かきに興味を示してくれませんでした。
でも父親が絵を描いているのを観察するのは大好き。「やっぱり絵を描きたいんだな」と確信し、お絵かきの訓練を始めました。
今回は、2年かけて行ったお絵かきの訓練を3段階に分けてご紹介します。
目次
【初級】◯△□で描かれた絵を完成させる
まずは、簡単な絵を完成させることから始めました。レゴ遊びが得意になる方法の記事で紹介したやり方と同様、未完成なものを段階的に完成させていく指導方法です。
①【準備】お子さんが好きなものの絵を描いておく。息子の場合、乗り物やロケットが好きだったので、それらを中心に描きました。いずれも◯△□だけを使い、複雑な曲線は避けることをお勧めします。
②同じ絵の未完成版を用意する。屋根がない家、タイヤがないトラックなど、お子さんが完成させる部分の難易度を調整できるように、幾つかのバージョンを作っておくことをお勧めします。
③未完成バージョンのコピーを数枚作っておく。そうすると、何度も練習ができます。
④【本番】お子さんにお手本バージョンを見せて興味を引いたところで、未完成バージョンを出し、「あれ?これは屋根がないね」と言って、完成させるように促す。レゴ遊びと同様、最初はお子さんの手の上から自分の手を重ね、一緒に描くことをお勧めします。
⑤慣れてきたら難易度を上げていき、最終的には1人で白紙から描けるようになるまでサポートする。
お絵かきを通して言葉の練習も
乗り物の他にも、当時発語の勉強で学習していた言葉も、お絵かきの練習に応用しました。
【例1】「嬉しい」「悲しい」などの感情を表す絵を描き、目や口の部分を完成させる。
【例2】天気用語を表す絵を描き、雲から落ちてくる雨や雪の部分を完成させる。
【中級】なぞると絵が動き出すお絵かきアプリ
次は、お絵かきアプリに挑戦。
息子が特に喜んでくれたのが「Bini Bambini」開発のお絵かきアプリ。(App Store、Google Playからダウンロード可能。1週間の無料お試し期間あり。)
動物や乗り物の絵をなぞるとその絵が動きだすので、息子はそれが見たくて一生懸命なぞっていました。見やすい画面で色も選べます。
アプリと紙を交互に使う
絵を1つ完成させ、その絵が動いている様子を見てしばらく楽しんだら、今度はその絵を紙と鉛筆で描いてみるように指導しました。紙に描けたら、次の絵はまたタブレットで挑戦。
こうして「好き→苦手→好き」の順に進めていく指導方法は、行動の切り替えは苦手→好きの順の記事で詳しくご紹介しています。
上手下手は関係なく、努力してくれたら◎。「これはキリンさんの首だね」「クルマのタイヤを1個2個」と声に出しながら描いていくことによって、言葉の練習にもなります。
【上級】イラストアプリで写真を撮り、上からなぞる
上のアプリでは物足りなくなってきたら、今度は大人向けのイラストアプリを活用!なぞる絵のレパートリーを無限に増やせるおすすめの方法です。
息子が使っているのはSketchbookという無料アプリ。(App Store、Google Playからダウンロード)
受賞歴のあるアプリだけに、プロのイラストレーター向けの高度な機能が詰まっていますが、我が家で使っているのはトレーシングできる機能。
①なぞりたいものの写真を撮り、画像をアップロード。好きな絵のスクリーンショットでも、お気に入りにおもちゃの写真でも、タブレットで撮影して直接アップロード可能、カメラロールに保存してあるものを選んでアップロードすることもできます。
②画像の透明度を薄くする。
③上からなぞる用の「白紙」のレイヤーをセレクト。
④筆の種類、太さなどを選択して、なぞる。
⑤慣れてきたら、白紙から自分で描けるようになるまでサポート。画面の小さい画像にて、自分が描いているものがリアルタイムで更新される様子が見れるので、息子は喜んでいます。
モンキーのメモ
✏️最初は簡単な絵を完成させるところから始める。
✏️アプリでなぞった後は、紙と鉛筆で同じ絵を描いてみる。
✏️画像をアップロードできるアプリを使い、好きなものを片っ端からなぞっていく。